GQがお届けする「BMW」に関する記事ページです。
■概要
BMWは、2016年3月7日に創業100周年を迎えた。現在のBMWの前身となった「バイエリッシュ フルークツォイク ヴェルケ(=BFW)」は、1916年に「グスタフ オットー フルークツォイク ヴェルケ(Gustav OttoFlugzeug Werke=グスタフ オットー航空機製造会社)と「ラップ モトーレン ヴェルケ(RappMotoren Werke=ラップ エンジン製造会社)」が合併してできた企業。合併後に我々が良く知る「バイエリッシュ モトーレン ヴェルケ(Bayerische Motoren Werke GmbH)」に社名を変更し、その名が現在まで使用されている。
■沿革
第一次世界大戦(1914年勃発)直前、欧州ではそれまで海上戦や地上戦が重要視されていたが、1903年にライト兄弟が有人飛行に成功するや、徐々に航空機を兵器として転用する動きが出はじめた。制空権争いこそが戦況を左右するとして、各国は航空機の開発に力を入れはじめ、黎明期には数々の航空機関連会社が生まれた。1910年、グスタフ オットーがドイツのミュンヘン郊外に設立した「グスタフ オットー フルークツォイク ヴェルケ(Gustav Otto Flugzeug Werke=グスタフ オットー航空機製造会社)」も、そのひとつだった。
現代においても、オットーの名を知る人は多いだろう。今、多くのクルマに用いられる内燃機関の基礎を開発したのがグスタフオットー、その人であり、内燃機関は開発者の名にちなんでオットー サイクルとも呼ばれている。そのオットーが設立した航空機製造会社が「グスタフ オットー フルークツォイクヴェルケ」だったのだ。現在、クルマのエンジンを指してその名が語り継がれているが、元々は航空機用エンジンとして開発されたものだったのだ。
もうひとつ、多くの航空機関連会社が生まれた当時、同じくミュンヘン郊外にカール フリードリッヒ ラップが「ラップモトーレン ヴェルケ(Rapp Motoren Werke=ラップ エンジン製造会社)」を1913年に設立。こちらは主に航空機のエンジン開発を主とするメーカーだった。黎明期の例に漏れず、両社は事業拡大と効率化を狙い、1916年に合併。新たに「バイエリッシュ フルークツォイク ヴェルケ(BayerischeFlugzeug Werke=バイエルン 航空機製造会社)」となる。
その「バイエリッシュ フルークツォイク ヴェルケ」は、翌1917年に「バイエリッシュモトーレン ヴェルケ(Bayerische Motoren Werke GmbH)」に社名を変更した。そう、その頭文字こそが我々が良く知るBMWという社名になるわけだ。BMWエンブレムが、空と雲を示す青と白を用いながらプロペラをモチーフに完成されたといわれる原点はそこにあり、元々BMWのルーツが航空機会社であったことからそう語り継がれている。しかし現在では、エンブレムの中にある青と白のカラーは、同社のあるバイエルン州の州旗のチェッカーをモチーフにカラーリングを反転させて採用したものであり、プロペラのさわりは完全に後付けだったという話もまた一方で定説化されている。
そうした都市伝説的なエンブレムのストーリーを持つBMWの原点は、社名変更前の航空機をはじめとする動力用エンジンを製造する「バイエリッシュフルークツォイク ヴェルケ」が法人登記を行った1916年3月7日。この年をもってBMWは設立の元年としており、よって2016年が、同社の100周年にあたることになる。
創業当時のBMWは、さほど規模の大きくない会社ではあった。第一次世界大戦に敗れたドイツでは航空機の製造が禁止され、そこで元々合併前のBFWが製造していたモーターサイクルの事業を本格的に行い、業績を伸ばしていった。同時に事業拡大の一環として自動車生産への意欲を見せていたBMWは、英国オースチン7のライセンス生産車両、ディクシーの製造権を持っていたアイゼナハ車両製作所を傘下に収め、自動車産業の一角に打って出た。これがBMW初の市販車輌、BMWディクシーとなる。
BMWディクシーは、改良に合わせ車名をBMW3/15PS(PSは最高出力を示したもの)に変更。1932年にオースチン社とのライセンス契約を終了した後、完全自社制作の3/20AM-1を発表し、販売を行った。その後自社開発モデルは、1933年に1.2リッター直列6気筒を搭載するBMW303に進化。このモデルで初めてキドニーグリルを採用したことや、直列6気筒という記号性、そして3シリーズという名称の原点ともいえる車名から、303を今に続くBMWのルーツと見る向きは少なくない。
1942年に第二次世界大戦が勃発すると、BMWも例外なくほかのドイツの自動車メーカー同様に軍事車両の製造を余儀なくされる。1945年の第二次世界対戦終結後には、旧東ドイツ側のアイゼハナ工場がソ連に接収されるが、1947年に戦後初のモーターサイクル、R24を発売。自動車は1951年のフランクフルト ショーでBMW501を発表し、本格的な戦後からの復活を果たした。
1954年にはV8エンジンを搭載したBMW501の上級モデル、BMW502をジュネーブ ショーで発表、続く1955年にフランクフルト ショーで、BMW503、507を発表し、イタリアのイソ社のライセンス生産車、イセッタの発売も開始した。1950年代後半には、一時経営危機を迎え、ダイムラーベンツとの合併も検討されたが、これを回避し、独立を守った。
転機が訪れたのは、1961年にフランクフルト ショーでのBMW1500の発表だった。いわゆる“ノイエクラッセ”と呼ばれる新シリーズは、ドイツをはじめ欧州でヒット。503シリーズの後継、BMW3200CSの発表にも弾みを付け、1500シリーズはBMW1600シリーズに進化。トップモデル1800TIを追加するなどして市場人気をリードした。1968年には1600-2の進化版、BMW2002発表。このモデルはいわゆる“マルニ”として今も親しまれ、コンパクトでスポーティな走りを実現した社是でもある「Freude am Fahren=駆け抜ける歓び」を標榜するBMWのルーツとしてファンの羨望を集めている。
1972年には、ミュンヘンに新しい本社社屋が完成。その形状から本社ビルは4シリンダータワーと呼ばれている。また、この年に初代新型5シリーズ(E12)を発表。早くも現在にまで続く数字でシリーズを明確に分けたラインナップが完成。のちに多くの自動車メーカーが採用するシリーズ化のさきがけとなったこれは、BMWの市販車におけるビジネス戦略の正しさを証明している。また、レース部門を担当すると共に、市販高性能モデルを生み出すBMW M GmbHが設立されたのもこの年である。
元々レース活動にも力を入れていたBMWは、1973年にETC(欧州ツーリングカー選手権)で初タイトルを獲得。この年は、市販車初のターボチャージャー搭載モデル、BMW2002ターボも発表し、BMW=スポーティな4シーターモデルブランドという一般的な解釈が確立された。
現在でもBMWといえば3シリーズといわれるが、その原点となった初代3シリーズ(E21)が誕生したのは1975年。翌1976年には初代6シリーズ(E24)を、1977年に初代7シリーズ(E23)を発表し、フルラインナップメーカーとして舵を切っていった。
当時、当たり前のように民族系ディーラーの法人格が輸入車の正規販売権を持っていた日本市場において、いち早く日本法人を設立したのもBMWだった。1981年の設立当時は珍しい大胆なマーケット戦略だと評されたが、現在輸入車の販売をそのほとんどが各メーカーの日本法人が担当していることを振り返って考えれば、こちらもその方針が正しいものだったといえる。
一方本国では、1990年に英国ロールス・ロイスの航空機部門と提携し、BMW-ロールス ロイス社を設立。1994年には同じ英国のローバー グループを買収。独自の戦略に基づくBMWグループを形成しはじめた。1998年にはロールス ロイスを正式に傘下に収め、2000年にローバー グループの中からMINIとトライアンフなどを残し、ランドローバーをフォードに、ローバーとMGを英国の投資グループ、フェニックスに売却。傘下のブランドとして大きな躍進を遂げたMINIのニューモデルが発売されたのは2001年で、以降、BMW、MINI、ロールス ロイスの4輪部門のほか、BMWモトラッド、伊ハクスバーナの2輪車を抱える一大グループを形成するに至った。
近年ではBMWのシリーズを拡大し、SUV(BMWではこれをSAV=スポーツ アクティブ ビークルと呼ぶ)のXシリーズを1〜6シリーズの間で完成させたほか、2シリーズなどこれまでになかったFFのプラットホームを使用したラインナップも発表。電化をメインとする次世代パワートレインとボディの軽量化技術を使用した、よりクリーンに走りの楽しさを追求する持続可能なモビリティ「EfficientDynamics」を標榜するiシリーズも市販している。
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