SYSTEM11
SYSTEM11(システムイレブン)は、ナムコが開発したプレイステーション互換のアーケードゲーム基板。
概要[編集]
プレイステーションに採用されたのと同じ種類のCPU「R3000A」、GPU、メモリをベースに、それらの半導体の動作周波数を高速化させ、メモリ容量を増強。独自のサウンドCPUや各種コネクタや各種I/Oインターフェイスを追加している。基板は上下二枚組で、上のCPUボード(ソニー製)にCPUとGPU、下のシステムボード(ナムコ製)にサウンド関係と筐体へのI/O周りが搭載されている。また、システムボード上にフラッシュROMが搭載されており、オンボードでの書き換えが可能となっている(故に、従来のROM交換によるソフト入れ替えには対応していない)。
SYSTEM11の半導体の動作周波数を1.5倍に高速化したのを中心に、メモリーの容量をさらに増量しパワーアップさせた上位互換基板が「SYSTEM12」である。
基本スペック[編集]
- メインCPU: R3000A(33.8688MHz), 30MIPS相当
- 命令キャッシュ: 4Kバイト
- サウンドチップ: ナムコ・カスタムチップ(C76, C352)
- BIOS: 512Kバイト
- メインメモリ: 2Mバイト
- VRAM: 2Mバイト(プレイステーションは1Mバイト)
- サウンド用メモリ: 512Kバイト
- GPU: 36万ポリゴン/秒, または4,000スプライト/秒
- 解像度: 256×224 ~ 740×480ドット
- カラー: 1670万色
- その他: モーションJPEGデコーダ内蔵
SYSTEM11誕生の経緯[1][編集]
1990年初頭のナムコは小型機のシェアで伸び悩んでいた。大型機と専用筐体は、高パフォーマンスなSYSTEM21とSYSTEM22基板が得意とする当時業界としてはまだ珍しい部類だった3Dポリゴン描画を採用した体感ゲームや、SYSTEM IIなどを採用したスプライトとドット絵を活かして2Dながらも立体的に見せる擬似3Dの体感ゲームが一定の評価を得ていたため、それなりのシェアで支えられていたものの、小型機と汎用筐体向けの作品が芳しくなかった。ナムコはかつて1980年代に小型機の輝かしい全盛期を迎えていたため、特に歯がゆい思いをしていた。前述の通りSYSTEM21,22作品で3Dに強みを持っていたナムコは、小型機用にもローコストの3Dボードを開発することが、この状況を打破するための急務であった。
そんな折、1993年秋のある新聞にソニーの新チップの記事が載っているのをナムコの中村繁一常務(当時[2])が見つける。これはと思った中村常務が、当時付き合いのあったソニーの久多良木健にコンタクトを取ると、「見て欲しいものがある」と言われ、プレイステーション(当時はPSX)構想と開発中のデモンストレーション映像を見せられる。
家庭用でこれだけのスペックを見せつけられた中村常務は、これこそが念願のローコストの業務用3Dボードへ繋がるものであると確信し、ソニーに対して技術協力をする代わりにアーキテクチャーの業務用への転用を許諾して欲しいという約束を取り付ける。かくしてソニーとの共同開発でプレイステーションをベースとした新型業務用ボードが誕生した。
SYSTEM11の名付け親は当時のナムコ研究部課長の小川徹である。単純にSYSTEM22の半分程度の性能なのでSYSTEM11とのことであった。
主なタイトル[編集]
特記がないものは全て「開発・発売元:ナムコ(現バンダイナムコエンターテイメント)」。
◎は、専用筐体と専用デバイスが必要になるタイトル。
- 鉄拳(1994年12月)
- 鉄拳2(1995年8月)
- 鉄拳2 Ver.B(1995年10月)
- ソウルエッジ(1996年)
- ソウルエッジ Ver.II(1996年)
- ゼビウス3D/G(1996年)
- Jリーグサッカー プライムゴールEX(1996年)
- ダンクマニア(1996年)
- ダンシングアイ(1996年)
- ポケットレーサー(1997年)◎
- スタースイープ(1997年7月下旬)※開発元:株式会社アクセラ
- 子育てクイズ マイエンジェル3(1998年)
- ガンバァール(1998年)◎
- バスト ア ムーブ(1998年)※開発・発売元:株式会社アトラス