キャッチ=22

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キャッチ=22
Catch-22
作者 ジョセフ・ヘラー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
ジャンル 戦争小説
刊本情報
出版年月日 1961年
日本語訳
訳者 飛田茂雄
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キャッチ=22』(Catch-22)は、ジョセフ・ヘラー1961年に発表した小説。堂々巡りの状況での戦争を、混乱した時間軸のなか幻想ともユーモアともつかない独特の筆致で描いた戦記風の物語。狂気の戦争、戦争の狂気を描いた作品として、しばしば『M★A★S★H』や『虚航船団』と比される。表題の「キャッチ」は陥穽(落とし穴)、「22」は「軍規第22項」の意味。

1970年映画化された。

ストーリー[編集]

舞台は第2次世界大戦中のイタリアのとある小島ピアノーザ島アメリカ空軍爆撃隊に所属している主人公ヨッサリアンは、狂っている将校と狂っている同輩、そして自らの狂気におびえている。

ひたすらに死を恐れ上官の暗殺をくわだてるパイロット、ただ他者の足を引っ張ることしか考えていない将軍を7セントで仕入れて5セントで販売する食堂担当者、墜落した飛行機の搭乗名簿にのっていたばかりに死人として扱われる軍医、などに囲まれる主人公は、一刻も早い除隊を求め、日々ドイツ軍陣地に爆撃を繰り返すものの、除隊に要求される爆撃回数は到達のたびに増えていく。

言葉としてのキャッチ=22[編集]

発表以降、本作のタイトルは英語で「ジレンマ」、「板挟み(の状況)」、「問題解決を阻む状況や規則」、「落とし穴」を指すスラングとして定着した。

これは、本小説全体のムードと併せ、特に作中の軍規22項の運用(例えば、狂気に陥ったものは自ら請願すれば除隊できる。ただし、自分の狂気を意識できる程度ではまだ狂っているとは認められない、としたもの)から来ている。

実務においてのキャッチ22状況としては次のものがある。

資格取得と実務経験[編集]

資格の取得と実務経験要件との関係において、キャッチ22が見られることがある。

ある資格試験を受験するためには数年の実務経験が必要である。しかしその実務に就くためにはその資格が必要である場合である。 ただし「実務に就くために資格が必要」とするのは、単に雇う側からの条件であって、資格試験の受験要件というわけではない。

邦訳[編集]

映画[編集]

キャッチ22
Catch-22
監督 マイク・ニコルズ
脚本 バック・ヘンリー
原作 ジョセフ・ヘラー
『キャッチ=22』
製作 ジョン・キャリー英語版
マーティン・ランソホフ英語版
出演者 アラン・アーキン
マーティン・バルサム
リチャード・ベンジャミン
アート・ガーファンクル
ジャック・ギルフォード
バック・ヘンリー
ボブ・ニューハート
アンソニー・パーキンス
ポーラ・プレンティス
マーティン・シーン
ジョン・ヴォイト
オーソン・ウェルズ
音楽 リヒャルト・シュトラウス
撮影 デヴィッド・ワトキン
編集 サム・オスティーン
製作会社 フィルムウェイズ英語版
パラマウント・ピクチャーズ
配給 パラマウント・ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 1970年6月24日
日本の旗 1971年10月16日
上映時間 122分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $18,000,000[1]
興行収入 アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $24,911,670[1]
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キャッチ22』(Catch-22)のタイトルで、1970年に公開された。監督はマイク・ニコルズ、脚本はバック・ヘンリー、主演はアラン・アーキン

マーティン・バルサムリチャード・ベンジャミンが脇役を固めているほか、フォークソングユニットとして著名なサイモン&ガーファンクルアート・ガーファンクルが重要な役で出演したことでも話題になった(なお、ポール・サイモンも本来は映画にキャスティングされていたが、ニコルズ監督により出演シーンがカットされた[2])。

撮影はメキシコで行われ、舞台となる基地の建物などもすべて新たに建設された[3]

キャスト[編集]

※日本語吹替:テレビ版・初回放送1975年4月24日『木曜洋画劇場

作品の評価[編集]

Rotten Tomatoesによれば、30件の評論のうち高評価は80%にあたる24件で、平均点は10点満点中7.2点、批評家の一致した見解は「『キャッチ22』は、面白く混沌とした狙いを武力紛争の狂気に定め、素晴らしいキャストと、バック・ヘンリーとマイク・ニコルズの知的で笑える働きによって支えられている。」となっている[4]Metacriticによれば、11件の評論のうち、高評価は5件、賛否混在は6件、低評価はなく、平均点は100点満点中70点となっている[5]

出典[編集]

  1. ^ a b Catch-22” (英語). The Numbers. 2022年7月12日閲覧。
  2. ^ 福田麗 (2013年2月13日). “サイモン&ガーファンクル、活動停止の裏側を明かす 俳優デビューが引き金に”. シネマトゥデイ. 2021年3月26日閲覧。
  3. ^ DVDコメンタリーより。
  4. ^ Catch-22” (英語). Rotten Tomatoes. 2022年7月12日閲覧。
  5. ^ "Catch-22" (英語). Metacritic. 2022年7月12日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]