#今できること 3年目の3月11日に

ツイート

事例:長野県佐久市 柳田清二市長のお話

たくさんの企業が復興に向けていろいろなことをされていらっしゃいます。3年目になる3月11日、改めて、Twitterならではの #今できること を考えました。

1) Twitterの一番の特徴は皆さんの声が集まる場であることです。これを活かし、3年目という節目に、Twitterをご利用されている多くの皆さんと一緒に、復興のために何ができるかを考える機会を持ちたいと考えています。

また、Twitterが得意とするものには「最新情報」と「拡散」もあります。災害時には、お住いの地域を問わず、いざという時に信頼できる最新情報を得ることができるようになれば、少しでも皆さんのお役に立つことができると考えています。

この考えに基づき、一昨年のライフラインアカウント検索、昨年のTwitterアラートとサービスを提供してきました (Twitterアラートの参加機関はこちらでご確認いただけます)。また、自治体のアカウントを中心に、災害時に信頼できる情報を提供してくれるアカウントの認証も進めています。昨年末には東京23区全てでアカウント運営が始まるなど、自治体のTwitterの利用は着実に増加しています。

2) この2年間に引き続き、災害時によりお役に立てるよう、今年は、地方自治体をはじめ、災害時に役にたつ情報をツイートするアカウントをさらに増やすことにより力を入れていきます。

この 2) に関連し、今年は、Twitterを上手に活用されている自治体もご紹介していきたいと考えています。

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第一弾として、先月の大雪の際にTwitterを上手に使われていらした長野県佐久市の柳田清二市長(@Seiji_Ya) に、自治体としてのTwitterの使い方についてお話をお伺いしました。

Q:どのような情報をツイートされていらっしゃいますか?

平常時に佐久市として行っているもののうち、Twitterの特性が特に有効に働いているのは「人探し」だと思います。高齢化が進む中、地元の消防団が招集されるのは火事よりも人探しの場合が多いのが現状です。

例えば高齢の認知症の女性が午前11時から姿がみえないという捜索願が出た場合、身長などの特徴や服装、認知症の有無、ご家族からの写真提供の有無などを防災無線で伝えています。でも、写真提供をしていただいても、無線ではその情報を共有することはできません。もちろん、ホームページで共有することもできますが、Twitterで行うほうが便利です。より多くの方々の協力を仰ぐために拡散をお願いすることもできます。一般の方々の協力も得られるので、ご家族さえよければ、行方不明の写真を拡散できることはとても有効です。Twitterはフォロワーの方々が人探しに協力してくださる率が高く、なかなか心強いツールです。ぜひ、全国の市町村も行うことをおすすめします。

ローカルか全国区かを問わず、自分の地元がテレビに映ることを嬉しいと思う方々は多いと思います。それをお知らせするツールとしても利用しています。例えば、最近、佐久市の小学校が文部大臣賞を頂戴しました。その方々が表敬訪問にいらしていただいたという情報は、その大会に関連した方や、卒業生を含め、その小学校に関係する方々も関心を持ってくださるかもしれない。また、佐久長聖高校はバスケットで、ついに念願の勝利を収めて全国大会に出ることになりました。これは長聖関係者にとってはとても嬉しいニュースでした。

私のところにはたくさんの情報が集まってきます。その情報の中から、みんなが関心を持つことを発信したいと思っています。

Q:市長自らがそのようなことをされるのは珍しいのではないでしょうか?通常は担当がいらして、上の方の承認を得なくてはならないことが多いと思うのですが?

Twitterが好きなんですね。昼休みとかにツイートしています。ひとつのツイートは140文字以下ですから、大体は3分以内で終わるのではないでしょうか。市長だってそのくらいの時間をみつけることはできますよね。

Q:実際にフォロワーの方々と会話をされていらっしゃいますか?

そうですね。リツイートやお気に入りに対してはあまり反応していませんが、長聖ネタなどで反応してくれると嬉しくなります。そんなときはフォローしてみたりします。そうすると、次の長聖ネタにも反応してくれたり。そんなことが嬉しいです。

Q:Twitterをとても使いこなしていらっしゃるようですが、いつから始められたのですか?

市長になってからです。市長になる以前は使っていませんでした。フォロワーが増えてくれるとやっぱり嬉しかったりしますね。子供がワッペン集めるような感じですかね。

Q:災害時には市民の方々とのコミュニケーションをどのような方法でとられていらっしゃるのですか?

佐久市はもともと災害が多い地域ではありません。地震の際も、他の地域が揺れた影響を受けはするものの、佐久市内には活断層が見つかっていないので佐久市が震源地になることはあまりありません。

また、千曲川が氾濫する可能性もないとは言えませんが、市内全体に大きく影響するようなことはあまりないと思われます。今回の大雪までは災害対策本部が何日も必要になるようなことはありませんでした。とはいえ、集中豪雨の際にも、「滑津大橋付近が警戒水位を◯cm超えたので通行止めになりました」とか「警戒が解けました」というようなツイートは出しています。

私のところには他の方々にも知らせるべきと思われる情報が多く入ってきますので、皆さんも知ったほうが良いと思われる情報はツイートするようにしています。Twitterは短い文章で大切なポイントを伝えることができるので、情報を受ける方も、情報を出す私にとってもあまり負担なく利用できると感じています。また、災害時は市民からもたくさんの情報を得たいと考えている中、ポイントだけ教えてくれるTwitterは市長の立場の私にとっても助かります。

もちろん、Twitterとアナログの方法とを併用しています。災害時、市長にはTwitter以外からも情報がたくさん入ってきます。その上で、自分のツイートに対しての反応ツイートや、ハッシュタグ #佐久道路 を使って関連ツイートを探したり、大雪の後、通学路のボランティア募集をした時も「通学路 佐久市」で検索をかけて情報を探したりもしました。

写真付きのツイートがあると直接電話をして確認もしました。深刻な状況と思われるツイートがあった場合は、Twitterのダイレクトメールを送って私の携帯電話の番号を教え、電話をしていただくようにしました。

Q:Twitterには間違った情報も多いと言われますが、今回はどう感じられましたか?

今回、間違った情報に惑わされたということはありませんでした。私にとって、Twitterの情報は従来の情報に上乗せされる情報という認識です。ツイートの数が多ければ多いほど精度は高くなりますし、写真がつくと現場の状況を理解しやすくなります。大雪の際、2800件以上の電話が入りました。その上にツイートの情報があり、全体を把握するのに役立ちました。

Q:Twitterを使われる上での課題はありますか?例えば、もし間違った情報をツイートしてしまったとしたら、どうされると思われますか?

間違った情報を出してしまった場合は、その情報を削除し、訂正のツイートを出すと思いますね。

実は、私自身が知っていてもツイートには出さない情報もあります。具体的に言うと、高速道路が何時を目標に開通できるようにしているか、などというものがあります。もし午後8時を目標に開通できるようにしているとしても、状況によっては午後10時になるかもしれません。このような時に私が「高速道路は午後8時に開通予定です」などというツイートを出してしまうと、混乱が起きてしまう可能性があります。雪捨場の地主さんと交渉をしている間に「〇〇を雪捨場として考えています」などとツイートしてしまったら、皆さんは一刻も早く雪を処理したいと考えているのですから、その場所に雪を持って行ってしまった可能性もあります。

また、近くのお店に行ったらカップラーメンの在庫がなくなっていました。この時もそんな状態をツイートしたいなという気にはなったのですが、ここでそんなことをしてしまうと皆さんをカップラーメンの買い占めに走らせることになってしまうかもしれないと考え、踏みとどまりました。

特に災害時においては、情報の受け手が信じる情報を選ぶ必要がありますが、発信側が情報を取捨選択するということも大切だと思います。「まだ決まっていないことは出さない」というルールはとても重要ですよね。

 

Q:自治体の中にはTwitterを使うことに躊躇されていらっしゃるところもあると思います。何かアドバイスはありますか?

市民の関心が高いと思われることから始められると良いと思います。市民の生活に関わる、行政しか出せない情報があるのですから、それを提供していくことをお勧めします。



Twitterでは皆さんからのご意見も伺いながら、復興や災害時に際して「Twitterだからできること」を進めていく予定です。ぜひ、ご協力をお願い申し上げます。

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