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Opinion

NEW YEAR

昭和99年のシンギュラリティ──新年に寄せて編集長から読者の皆さんへ

2024年は昭和にすると99年、いよいよ節目のときとなる。その間、ポジティブ/ネガティブなパラダイムシフトはいくらでもあった。では、本当は変えなければならなかったことは何だろう──新年に向けた特集「THE WORLD IN 2024」に寄せて、『WIRED』日本版編集長・松島倫明からのエディターズレター。

The Singularity in Showa 99 (Editor’s Letter: Vol.51)

The year 2024 could have been the 99th year of the Showa era, and thus finally the time for a turning point. During the last 100 years, there have been plenty of positive/negative paradigm shifts. So, what are the other things that we really could have changed? Here is WIRED JAPAN’s Head of Editorial Content Michiaki Matsushima’s Editor's Letter for WIRED JAPAN’s VOL. 51, “THE WORLD IN 2024”, which looks ahead at the upcoming year.

VRヘッドセットがあなたの寝室を完璧に把握するのは、もうすぐかもしれない

メタとアップルは次なるフロンティアとして複合現実(MR)に狙いを定めている。だが、ウェアラブル端末に周囲のデータ収集を許すことは数々の問題を生むことになるだろう。

哲学者ユク・ホイ 特別寄稿:2050年、テクノロジーの多元論へ

ひたすらギアを上げて加速し続けるテクノロジーの発展が、「避け難く次の戦争につながるのは明白だ」とユク・ホイは言う。だからこそ、テクノロジーとわたしたちとの関係の「根本的な変化」がいま求められているのだと。キーワードは生物多様性、精神多様性、そして技術多様性だ。

いつも好奇心に駆り立てられてきた:創刊30周年記念号(VOL.50)の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

『WIRED』はこれまで、「新しくエキサイティングなもの」に未来の可能性を見いだしてきた。そこで欠かせないのが、「闘う楽観主義」と「長期的思考」だ。節目のタイミングに『WIRED』のエートスを改めて問う日本版編集長・松島倫明からのエディターズレター。

AIが生成したコンテンツを見分けるには「専用の文字」をつくればいい

AIによるコンテンツと人間が作成したコンテンツの見分けが難しくなっており、これらを区別する方法を確立することが急務になっている。作家のアリステア・クロールは、AIが生成する文章にUnicodeで用意したAI専用の文字を使用することで識別するのが合理的かつ実践的だと提案する。

受刑者の社会復帰をスムーズにするためには、インターネットへのアクセスが欠かせない

人工知能(AI)やスマートデバイスといった技術が生活に浸透してきているが、米連邦刑務所に収監されている囚人たちは最新技術に触れる機会がない。テクノロジーから切り離された生活をしていると社会復帰が難しくなるため、再犯を防ぐためにもインターネットへのアクセス必要だと、ある受刑者は指摘する。

親愛なるマーク・ザッカーバーグへ。イーロン・マスクと格闘技で戦うのはやめてくれ

マーク・ザッカーバーグとイーロン・マスクは格闘技の試合をしないほうがいい。ザッカーバーグがマスクにすでに事業で勝っているなら、なおさら試合をする意味はない。『WIRED』エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィが綴るメッセージ。

「リジェネラティブこそが未来のコンセプトになっていく」──哲学者マルクス・ガブリエルが語る資本主義の行方、あるいはAIと哲学

4年ぶりに来日した哲学界のロックスターは、エルメスの定番H織りネクタイを揺らしながら、聴衆に向かって資本主義を擁護してみせた。いわく、人々の倫理性を行動規範とする経済は実現可能なのだと。それが絵空事でないことを確かめるべく、講演を終えたマルクス・ガブリエルへ単独インタビューを試みた。

生成AIと自然──来たるべき“リジェネラティブ革命”に向けて:雑誌『WIRED』日本版VOL.49の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

生成的(ジェネラティブ)な人工知能と再生的(リジェネラティブ)な自然、はたしてそれは対立的な概念なのだろうか? 未来を再生する次世代カンパニーを特集する最新号「THE REGENERATIVE COMPANY」に向けて、「リジェネラティブ」の可能性を問う『WIRED』日本版編集長・松島倫明からのエディターズレター。

リトリートと環世界:雑誌『WIRED』日本版VOL.48の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

退屈な未来はごめんだけれど、未来に退屈することは大切だ──「未来への退却(リトリート)」を謳う最新号「RETREAT」特集がいよいよ発売。自然と人間、そしてデジタルの関係を大胆にリフレームするリトリートの可能性(と不可能性)をめぐって、『WIRED』日本版編集長・松島倫明からのエディターズレター。

コンテンツのあり方を変えるジェネレーティブAI、『WIRED』は“ツール”としてこう使う[ガイドライン]

会話型AIやジェネレーティブAIが生成した文章や画像を多くのメディアはすでに使い始めているが、『WIRED』は記事の作成から本誌の表紙のデザインまで完全にAIに任せることはない──。『WIRED』のエディトリアルをグローバルに統括するUS版編集長のギデオン・リッチフィールドによる編集方針の表明。

それは誰のための未来なのか? ──新年に寄せて編集長から読者の皆さんへ

2023年、未来を実装するメディアとして創刊から30年の節目を迎える『WIRED』は、未来のかたちを伝えるだけでなく、それが誰のための未来なのかを問うていく──新年に向けた特集「THE WORLD IN 2023」に寄せて、『WIRED』日本版編集長・松島倫明からのエディターズ・レター。

デジタル・デモクラシーによって多元主義を実現する:グレン・ワイル──特集「THE WORLD IN 2023」

AIやクリプトによって民主主義の基盤が破壊されようとしているなか、いま必要なのは、より多元的な意思決定やコラボレーションを促すテクノロジーへの投資だと、経済学者のグレン・ワイルは考えている。

「なめらかな社会」というオルタナティブな未来への実験:鈴木 健──特集「THE WORLD IN 2023」

Web3を牽引する分散的なテクノロジーは貨幣や選挙、国家など既存の枠組みを更新する可能性を秘めている。そのポテンシャルを引き出すために必要なのは、実験と問いの精神だと鈴木健は言う。

ゲームが世界をのみ込む:雑誌『WIRED』日本版VOL.46の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

10年ぶりのゲーム特集となる雑誌『WIRED』日本版VOL.46が発売された。「GAMING THE MULTIVERSE」というタイトルに込められた意図とは何か──拡張するゲームと世界を「Realities(現実の複数形)」から読み解く編集長・松島倫明の巻頭エディターズレター。

マルチスピーシーズでの合意形成が、地球というコモンズの再定義を迫る

「地球」という最も大きな共有地は、人間だけのものではない。そのメンバーシップの構成員を、動植物やAIエージェントといったマルチスピーシーズ(複数種)まで拡げ、共生を目指すことができるはずだ。コモンズの射程距離を〈わたし〉から〈わたしたち〉に拡張するアプローチを、一般社団法人Deep Care Lab代表の川地真史が考察する。(雑誌『WIRED』日本版Vol.42より転載)

DAOによる、政治家のいない民主主義へ:落合渉悟が描く、行政DX・立法DXへの道筋

ピーター・ティールいわく「自由と民主主義は両立しない」らしい。そうした生粋のリバタリアンに倣って国家から脱出するのではなく、この民主主義をブロックチェーンによって修復できないだろうか? 自治体機能が縮小していく未来を前にして、ブロックチェーン開発者・研究者の落合渉悟は「DAO」というツールに希望を託す。 (雑誌『WIRED』日本版Vol.44より転載)

「われわれで決定する」シビックテックの現在地:WIREDフィールドワーク[加古川市×Decidim編]

猫も杓子も「DX」や「スマートシティ」と叫ぶなか、変革が求められる行政のあるべき姿とは何なのだろうか ─。LINEを使い行政サービスとの連携を模索するCivichatの高木俊輔とともに兵庫県加古川市を訪れ、政策の意思決定をオープン化する先にある市民参加と合意形成のこれからを探った。(雑誌『WIRED』日本版VOL.42から転載)

誰かが決めた未来ではなく、自分たちの未来を取り戻すために:WIRED CONFERENCE 2022の開催に向けて、編集長から読者の皆さんへ

「手を動かし、実装しよう!」と謳うWIRED CONFERENCE 2022が10月14-15日に開催される。2日間のテーマがそれぞれ「FUTURES/REALITIES」となるこのハンズオン型カンファレンスでは果たして何が語られ、何が実装されるのか。編集長・松島倫明からのメッセージ。

人新世における「新しい人間像」の構築へ:気鋭の法学者・稲谷龍彦と考える、7つの論点

人新世(アントロポセン)の時代において、「自由意志をもった自律的な主体」を前提とした法や、人間中心主義社会の更新が求められている。「新しい人間像」の構築を目指す京都大学教授の稲谷龍彦が提示する7つの論点から、来たるべきマルチスピーシーズ社会を検討する。(雑誌『WIRED』日本版Vol.42より転載)

「無意識データ民主主義」という打開策:経済学者・成田悠輔と考える「民主主義の再生」

合意形成ツールのはずの選挙が民意を反映せず、民主主義が“気絶状態”に陥るなか、最終手段として成田悠輔が提案するのが「無意識データ民主主義」だ。膨大なデータ収集と解析により「選挙なし」の政策決定を行なうというそのアイデアに迫る。(雑誌『WIRED』日本版VOL.42から転載)

「民主主義」はコモンズに先立つ:政治学者・宇野重規と考える「民主主義の再生」

コモンズと合意形成の未来を追った雑誌「NEW COMMONS」特集において、現代におけるコモンズの可能性と限界を検討してきた宇野重規は、コモンズによる秩序形成を推し進めるうえでは「民主主義」の基盤が重要だと指摘する。(雑誌『WIRED』日本版VOL.42から転載)

「as a Tool」という生存戦略:雑誌『WIRED』日本版VOL.45の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

雑誌『WIRED』日本版VOL.45が6月13日に発売された。特集テーマは「AS A TOOL」。『WIRED』編集部が考える2020年代の思想とライフスタイルが全180のツールに凝縮された本カタログは、「ノマディクス」「シェルター」「コミュニケーション」「ウィズダム」という4つのカテゴリーから編まれている。いま人類が手にするあらゆる可能性をツールへと読み替えていく総力特集に寄せて、編集長・松島倫明からのメッセージをお届けする。

『WIRED』日本版の実験区、SZメンバーシップを拡張する先に見据えるメディアのかたち

未来を実装するメディア『WIRED』日本版では、サブスクリプションサービス「SZメンバーシップ」で会員向け限定のコンテンツや体験を提供している。そしてこのほどメーター制のペイウォールを導入し、このSZ(スペキュラティブゾーン)という実験区をさらに拡張していくことをお伝えしたい──どんなサービスになるのか、その意図は何か、そして改めて、オンラインにおける「フリー(無料)」の現在地についても。

Web3、あるいは所有と信頼のゆくえ:雑誌『WIRED』日本版VOL.44の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

雑誌『WIRED』日本版VOL.44が3月14日に発売された。特集テーマは「Web3」。いま急速に注目を集めるこの新しいムーブメントは、NFTやメタバースまでも包含し、自律分散型のインターネットを再び自分たちの手に取り戻そうとしている。新たなる革命の真髄に「所有」と「信頼」というキーワードから迫る総力特集に寄せて、編集長・松島倫明からのメッセージをお届けする。

自律分散型社会へのセットとセッティング:新年に寄せて編集長から読者の皆さんへ

『マトリックス』という号砲とともに2000年代に突入してからいままで、わたしたちはずっと、セットとセッティングがバラバラのままだったのかもしれない。だがいまや、「DAO」であれ「Web3」であれ、自律分散型社会をつくるための機がとうとう熟したようだ。来る2022年のパラダイムシフトを予感する、『WIRED』日本版編集長・松島倫明からの年初のエディターズ・レター。

なぜ22世紀を想像できないのか?:雑誌『WIRED』日本版VOL.43の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

雑誌『WIRED』日本版VOL.43が12月13日に発売された。世界中のヴィジョナリーや起業家、ビッグシンカーが2022年を見通すこの人気特集「THE WORLD IN 2022」では、ビル・ゲイツ、オードリー・タン、マリアナ・マッツカート、カイフー・リー、エレン・マッカーサーなど多彩な寄稿者が2022年の最新トレンドをキーワードから読み解いていく。その刊行に寄せて、編集長・松島倫明からのメッセージをお届けする。

忘却なき現代と「構造」のメディア:「科学を伝える言葉」は、いかにインフォデミックに抗ったのか#3

新型コロナウイルスのパンデミックで起きた情報の混乱「インフォデミック」は、東京オリンピックでも注目された「キャンセルカルチャー」にも通じるメディアのパラダイムシフトが背景にある。ロンドン芸術大学大学院で取り組んだプロジェクトの一環として各国のサイエンスジャーナリストに取材したコントリビューティングライターの森旭彦が連載する第3回。

二度目はコモンズの喜劇として:雑誌『WIRED』日本版VOL.42の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

雑誌『WIRED』日本版VOL.42が9月16日に発売された。特集テーマは「NEW COMMONS コモンズと合意形成の未来」。地球規模のグローバルコモンズや人類の目の前に拡がるメタヴァースという新しいコモンズの可能性と、それを実装する合意形成のありうべき未来を探る総力特集だ。その刊行に寄せて、編集長・松島倫明からのメッセージをお届けする。

いまこそ「未来というコモンズ」の再生に取りかかるとき:「WIRED CONFERENCE 2021」開催に寄せて、編集長からみなさんへ

未来という共有地がいまや植民地化されているのなら、わたしたちがこの手にそれを取り戻し、再生することはいかにして可能だろうか──都市スケールからヒューマンスケールまで、多彩なゲストとテーマからその可能性を探るイヴェント「WIRED CONFERENCE 2021」の開催が決定した。3日間にわたる本オンラインカンファレンスに寄せて、今年の全体テーマ「FUTURE : re-generative 未来を再生せよ!」に込めた思いを綴った編集長・松島倫明からのメッセージ。

ネイバーフッドの逆襲:雑誌『WIRED』日本版VOL.41の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

雑誌『WIRED』日本版VOL.41が6月14日に発売された。特集テーマは「NEW NEIGHBORHOOD 都市の未来とネイバーフッド」。パンデミックによって都市の定義が永遠に書き換わったいま、わたしたちが手にした「ネイバーフッド」というつながりからリジェネラティヴな都市の未来を描く総力特集だ。その刊行に寄せて、編集長・松島倫明からのメッセージをお届けする。

わたしたちの知るシリコンヴァレーの“終わり”の始まり:ティム・オライリー

大手テック企業や起業家、大物投資家の一部にシリコンヴァレーを離れる動きが出始めている。リモートワークの浸透が大きな理由だが、実はもっと重要な変化が起きている。消費者や事業者向けアプリのような過剰供給の分野に、もはや大きなチャンスはないのだ。新たな“金鉱”は「気候テック」にあり、しかもその中心地は米国ですらなくなり始めている──。オライリーメディアの創業者兼CEOで、「Web 2.0」の提唱者として知られるティム・オライリーによる考察。

大量の個人情報を売買する“データブローカー”の存在が、民主主義を脅かしている

米国には個人情報を売買するデータブローカーとも呼べる企業が存在し、実質的な規制なしに消費者や個人のデータを流通させて巨額の利益を得ている。ソーシャルメディア企業がプライヴァシーを巡る問題で非難されているが、実はその周囲にはデータを買い占めて精緻化して販売する巨大なエコシステムが存在している。

「科学を伝える言葉」は、いかにインフォデミックに抗ったのか:サイエンスジャーナリズムからの報告者たち#2

各国のサイエンスジャーナリストはいかにサイエンスの言葉を伝え、不確かな情報の拡散に抗ったのか? ロンドン芸術大学大学院で取り組んだプロジェクトの一環として各国のサイエンスジャーナリストに取材したコントリビューティングライターの森旭彦が、現在のメディア環境の問題点から新たなジャーナリズムのアティチュードまで考察する連載の第2回。

「科学を伝える言葉」は、いかにインフォデミックに抗ったのか:サイエンスジャーナリズムからの報告者たち#1

新型コロナウイルスのパンデミックにおいて、各国のサイエンスジャーナリストはいかにサイエンスの言葉を伝え、不確かな情報の拡散に抗ったのか? ロンドン芸術大学大学院で取り組んだプロジェクトの一環として各国のサイエンスジャーナリストに取材したコントリビューティングライターの森旭彦が、現在のメディア環境の問題点から新たなジャーナリズムのアティチュードまで考察する連載の第1回。

社会貢献のインセンティヴとしての仮想通貨と、思想としてのブロックチェーンの価値:加藤崇

この日本において、とかくネガティヴなイメージがつきまとう仮想通貨。このブロックチェーンを用いた仕組みが、実は市民を巻き込んでインフラ整備を加速させるためのインセンティヴとして使えるのではないか──。水道管などの配管インフラの更新投資を人工知能によって最適化するソフトウェアを米国で開発している、起業家でフラクタCEOの加藤崇による考察。

ソーシャルメディアのCEOたちが公聴会で語らなかった「心の声」を、文章で“再現”したらこうなった

米下院公聴会で証言に立ったフェイスブック、ツイッター、グーグルの最高経営責任者(CEO)たち。周到に準備されたお決まりの冒頭発言で幕を開けた公聴会だったが、3人の本音はどうだったのだろうか──。3社とそのCEOたちを創業期から取材してきた『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィが、その「心の声」を事実と想像に基づいて文章で“再現”した。

地球のためのガストロノミー:雑誌『WIRED』日本版VOL.40の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

雑誌『WIRED』日本版VOL.40が3月13日に発売された。特集テーマは「FOOD: re-generative 地球のためのガストロノミー」。食べることで自然に介入し、環境を再生していくようなリジェネラティヴな食の在り方を探り、来たるべきフードイノヴェイションの萌芽を一冊に盛った総力特集だ。その刊行に寄せて、編集長・松島倫明からのメッセージをお届けする。

デジタル資産の「NFT」という、“所有できる幻覚”の価値

デジタル資産のノンファンジブル・トークン(NFT)が注目されている。アートや映像、音楽などのデジタルデータと所有者をブロックチェーン技術で結びつけ、その“所有権”を購入できる仕組みだ。こうした動きに違和感を覚える人も少なくないかもしれない。だが、ウィリアム・ギブスンが予見したサイバースペースを人類が受け入れたことを考えれば、「何が価値をもつのか」という概念が変わっても何ら不思議ではない──。『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィによる考察。

「音声の拡張現実」による社会変化を、“Clubhouse旋風”が加速する:井口尊仁

日本でも急速に普及している音声SNS「Clubhouse」は、声だけで偶発的に“出会える”ことで人と人との「距離感」を一気に縮め、対話のスピード感を加速させた。その先には「音声の拡張現実」がもたらす新たな市場と巨大なエコシステムの可能性も見えている──。自らも音声SNS「Dabel」を手がける起業家の井口尊仁による考察。

新型コロナウイルスのワクチン不足と、“お粗末な予約サイト”という米国の惨状

米国では新型コロナウイルスのワクチン接種が進められているが、ワクチン不足が社会問題になっている。しかも、お粗末なつくりの接種予約サイトが全米各地の自治体によって乱立していることで、さらなるカオス状態に陥ってしまっている。いったいなぜなのか──。『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィによる考察。

米議事堂での暴動を助長したプラットフォームは、その「代償」を払う必要がある

米連邦議会議事堂で2021年1月に起きた暴動について責任を負うべきなのは、前大統領のドナルド・トランプや右派メディアだけではない。暴動を扇動し、助長する役割を果たしたFacebookやInstagram、YouTube、Twitterといったプラットフォームも、その代償を払う必要がある──。シリコンヴァレーの著名な投資家で、初期のフェイスブックを支えたのちに批判に転じたロジャー・マクナミーによる寄稿。

アマゾンCEOを退任するジェフ・ベゾスの決断と、視線の先にある「文明の向上」への思い

アマゾンの最高経営責任者(CEO)を退任すると発表した創業者のジェフ・ベゾス。アマゾン以外にもさまざまな事業に取り組んでいる彼にとって、いまこのタイミングでCEOから退くという決断は「不可避」だったのではないか──。『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィが、ベゾスと交わした会話からひも解く。

トランプのアカウント凍結だけでは、ソーシャルメディアの根本的な問題は解決しない

ドナルド・トランプのアカウントをFacebookやTwitterが凍結した。しかし、それだけではソーシャルメディアが抱える根本的な問題は解決しない。マーク・ザッカーバーグとジャック・ドーシーには、ふたりがよく言うように「すべきことがたくさん」あるのだ──。『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィによる考察。

社会を変えるために、いまこそ「テック・インテンシティー」の民主化が求められている

わたしたちが地球規模のパンデミックと経済の混迷、気候関連の危機、人種的不公平を巡る騒動と破壊の連鎖と闘ういま、経済的な機会と回復力をより公平に分配するには、市民開発者を巻き込みながら「テック・インテンシティー」を民主化して広める必要がある──。マイクロソフト最高経営責任者(CEO)のサティア・ナデラとハーヴァード・ビジネス・スクール教授のマルコ・イアンシティによる寄稿。

ポスト人新世へ、ようこそ。2010年代における思想のエコロジカルターンと、2020年代に向き合うべき問い:篠原雅武

わたしたちはいま、人類が地球環境や生態系に大きな影響を与える「人新世(アントロポセン)」の時代を生きている。自然災害が相次ぐなか、人新世のその先を描くべく「ポスト人新世」を構想する識者も登場している。こうしたなかティモシー・モートンによる書籍の翻訳や、著書『人新世の哲学』で知られる哲学者の篠原雅武が、ラディカルな識者のひとりであるベンジャミン・ブラットンのエッセイや論考、そして彼との議論を参照しながら「ポスト人新世」的状況を考察する。