[東京 20日 ロイター] - 東芝(6502.T)が進めているメモリー子会社の売却先選定作業が、混迷を深めている。政府系ファンドの産業革新機構と日本政策投資銀行は、韓国半導体大手のSKハイニックス(000660.KS)と米系投資ファンドのベインキャピタルと連携し、日米韓による連合形成で調整しているものの、いまだ陣営を固め切れていない。
不確実性を高めているのが、東芝の合弁パートナーの米ウエスタンデジタル(WD)(WDC.O)による売却プロセスの差し止め請求だ。日米韓連合からは「訴訟リスクを排除しない限り、応札できない」との懸念が出ており、WDの動向がカギを握る情勢となっている。
<カギ握るウエスタンデジタル>
経産省が主導しまとめようとしているのは、もともと入札に参加していたSKハイニックスとベイン連合に、革新機構と政投銀が加わるかたちの日米韓連合だ。
関係者によると、メモリー子会社を買収するためのSPC(特定目的会社)を設立し、革新機構と政投銀、ベインが出資する。さらにSKハイニックスと三菱東京UFJ銀行などが融資を付け、最終的には2兆円超の買収資金を用意する計画だ。
ただ、陣営の行方に不確実性を与えているのが、WDの動向だ。WDは当初、メモリー子会社への過半数出資による経営権の取得にこだわってきたが、これまでの経産省や東芝との交渉で、当面、経営権は諦め社債による資金提供で関与していく方向に要求を引き下げている。
その一方で、15日は米カリフォルニア州の上級裁判所に売却プロセスの差し止め請求を起こし、硬軟織り交ぜた交渉を展開している。
日米韓連合の中には、WDの訴訟リスクは負えないとし「WDの同意を得て、訴訟を取り下げてもらわないと出資も融資もできない」(陣営関係者)との声が広がっている。別の関係者は「WDをどのように陣営のピースに当てはめるかどうかが、カギになる」と話し、「ボールはWDにある」とした。
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