世界に、製品を作る人に、
ポジティブな影響をもたらす製品を。

Appleのサプライヤーは世界中で数百万人の従業員を雇用しています。私たちの意思決定は、
彼らの生活やコミュニティに大きな影響を与える可能性があります。私たちには、Appleの
サプライチェーンで働くすべての人の権利を守り、壊れやすい地球の環境を保護するために
できることすべてを行う大きな責任が
あるのです。だからApple製品の製造プロセスでは、
あらゆる細部に徹底的に
配慮しています。そして、サプライヤー各社で働く従業員の教育と
トレーニングに
投資し、彼らの現在と未来を支援するためのチャンスとツールを届けています。

2017年の進捗報告書をダウンロード(PDF)

サプライヤー改善

私たちは業界で最も高い基準を設定し、
それを満たせるようにサプライヤーを支援しています。

Appleには、安全な労働環境、従業員の公平な待遇、環境面で安全な製造のための
高い基準を遵守するように自らのサプライヤーに求める厳格な行動規範があります。
私たちは
毎年、その基準をさらに引き上げるための努力を重ねています。サプライヤーと
密接に連携することで、彼らが責任ある方法で事業を運営するために必要な知識と
スキルを身につけられる
ように支援も行っています。2016年には評価基準を引き上げ
ながら新しいサプライヤーを
私たちのプログラムに迎えましたが、こうした
コラボレーションの結果、
全体的なスコアが一段と向上しました。

パートナーシップがもたらした
前年比の成果。

2016年にAppleが実施したサプライヤー査定は705件で、そのうち約30パーセントが新たにプログラムに
参加した
サプライヤーに対する初回査定でした。私たちは自らのサプライヤーと密接に連携することで、
パフォーマンスの高い
サプライヤー施設の数を59パーセント増やし、パフォーマンスの低い施設の数を
31パーセント減らすことができました。

2015年

574
件の査定結果

  • 209 ハイパフォーマー(90〜100点)
  • 330 ミディアムパフォーマー(60〜89点)
  • 35 ローパフォーマー(59点以下)

2016年

705
件の査定結果

  • 332 ハイパフォーマー(90〜100点)
  • 349 ミディアムパフォーマー(60〜89点)
  • 24 ローパフォーマー(59点以下)

進捗の評価方法。

Appleでは、自らのサプライヤーで改善が進んでいるかどうかを知るために、定期的な査定を実施しています。
この査定は
「労働者の権利と人権」「環境に対する責任」「健康と安全」という3つの大きなカテゴリー別に行われ、Appleの行動規範に合致する
500以上のデータポイントにもとづき、それぞれのカテゴリーで100点を満点として点数評価されます。私たちはサプライヤーに着実な改善を示すように求めます。そして、彼らが確実に改善
できるように、教育、トレーニングツール、サポートを通じて協力しています。

労働者の権利と人権

85
平均評価スコア

遵守:85ポイント、不遵守:15ポイント。

環境

87
平均評価スコア

遵守:87ポイント、不遵守:13ポイント。

健康と安全

87
平均評価スコア

遵守:87ポイント、不遵守:13ポイント。
  • 遵守
  • 不遵守

100点を満点とした2016年の評価スコア

環境面でリードしながら、パートナーが足並みを
そろえられるよう支援しています。

Appleでは、炭素排出量を最小限に抑え、埋立廃棄物を排除し、水を節約し、安全性に欠ける化学物質を置き換えるためのプログラムをサプライチェーン全体で推進しています。また、サプライヤーが使うエネルギーの量を減らし、再生可能エネルギーに切り替えるための支援も行っています。さらに、2020年までに全世界で4ギガワットの再生可能エネルギーを作り出すためにサプライヤー各社と連携することで、再生可能エネルギーの使用を促進しています。このエネルギーは、サプライヤー施設の電力供給に役立てられます。2016年にはAppleのエネルギー効率化プログラムに参加するサプライヤー施設の数を3倍に増やすことに成功し、その結果15万トンを超える炭素排出量を削減しました。すでに多数の大手サプライヤーが、Apple製品の製造に使われるエネルギーのすべてを、2018年末までに再生可能エネルギーで供給することを約束しています。これらの取り組みによって、年間700万トンの炭素排出量が削減される予定です。これには、150万台の自動車を1年間道路からなくすことと同等の効果があります。私たちが担う責任は、紙のサプライチェーンにまでおよびます。Apple製品のパッケージに使われている紙の99パーセント以上は、再生された木材繊維、または持続可能な方法で管理されている森林と伐採管理が行われている木材源から調達されています。

ケーススタディー

廃棄物ゼロの製造施設を作るために。

Appleは2015年に、最終組み立てを担うサプライヤーに向けた廃棄物ゼロプログラムを開始しました。上海にあるTech-Comは同プログラムに参加したサプライヤーの一社です。私たちはこの施設と密接に連携する中で、施設が生み出す廃棄物のうち20パーセント以上が焼却または埋め立て処理されていることに気づきました。そこでサプライヤーおよび現地のリサイクル施設と提携し、廃棄物を選別してリサイクルする、より良いプロセスの開発に取り組みました。その結果、Tech-Comでは、埋め立て処理場や焼却場に送る代わりに、すべての製造廃棄物をリサイクルできるようになったのです。さらにTech-Comは生ごみを管理する新しいプロセスを開発することで、生ごみを埋め立て処理場ではなく現地の生ごみ処理場に送れるようにしました。次に彼らは、それまでに学んだ知識を活かして自社のサプライヤーのためのプロセスを開発し、彼らが梱包材を回収して再利用できるようにしました。このプログラムが開始されて以来、Tech-Comは1万トン以上の廃棄物を埋め立て処理せずに転用しています。同社はその結果、彼らの功績にふさわしい「UL Zero Waste to Landfill」認定(UL社による埋立廃棄物ゼロの認定)を2016年に獲得しました。

従業員の教育と支援

私たちは人に投資しています。

より多くの教育を受けた従業員は、より大きな力を発揮できる従業員になります。
2016年、Appleはサプライヤー各社と提携し、240万人を超える従業員に向けて、
従業員としての
自らの権利を理解するためのトレーニングを実施しました。私たちの
サプライチェーンで働く人たちが一段と確かな未来を築けるように、教育プログラムや
トレーニングプログラムも
幅広く提供しています。その中には、学士号や準学士号の
取得、職業訓練への参加、外国語、アート、財務、基本的なライフスキルに関する
講座の受講などの機会も含まれています。

240 人以上が2016年に従業員としての権利に
ついてのトレーニングに参加
68.9 人以上が2016年にキャリア育成と
ライフスキルのトレーニングに参加
210 人以上が現在までにSupplier Employee Education and Development(SEED)プログラムに参加

ケーススタディー

教育を機会に変える。

Jiang Hong Liu氏は、大学の学位を2つ持つ経験豊かなFoxconnのマネージャーです。これは、技術者として組み立てラインで働き始めた頃の彼女には想像もできなかった未来でした。

ある日の午後、Foxconn施設内の廊下を歩いていたJiang氏はSupplier Employee Education and Development(SEED)プログラムのポスターを目にしました。彼女はずっと大学に行きたいと望んでいましたが、家庭の事情でかないませんでした。しかしSEEDに参加することで、仕事を続けて家族を支えながら学位を目指すことができたのです。まずは準学士号、その数年後には学士号を取得しました。

Jiang氏の粘り強さと決意が実を結び、Foxconnでの職位は数年の間に上がりました。最初の仕事だった技術者のポジションからいくつもの昇級を経て、現在では自分のチームを率いるマネージャーを務めています。

「自分の仕事がとても気に入っています。Appleの教育プログラムはキャリアアップに本当に役立ちました。英語も上達したので、クライアントとのコミュニケーションやプロジェクト管理も自分でできるようになりました。SEEDに参加していなければ、今のキャリアは手に入れることができなかったでしょう」

責任ある原材料調達

原材料の責任ある調達を、さらに深く掘り下げます。

人と地球のための私たちの取り組みは、製品の製造のみにとどまりません。Appleは
2010年に、
スズ、タンタル、タングステン、金(3TG)について、製造から製錬所のレベルに
至るまでのサプライ
チェーンを初めて明らかにした企業の一つになりました。2016年には、
コバルトのサプライチェーン
マッピングを完了しました。私たちはこれからも3TG製錬所の
リストを公表し続け、今年からは
コバルトのサプライヤーもこのリストに含めます。さらにAppleのサプライチェーン内で確認されて
いる3TG製錬所と精製所の100パーセントが、
2年連続で独立した第三者による監査を受けました。一方、2016年には22の製錬所を
私たちのサプライチェーンから除外しました。Appleは今後も、
私たちの高い基準を
遵守できない、または最終的に遵守しようとしないサプライヤーを排除して
いきます。
また、社会的基準と環境基準をさらに高めることをサプライヤーに求めながら、
自らの
サプライチェーン全体への影響力を毎年深めています。

100% の製錬所と精製所(スズ、タンタル、タングステン、金、コバルト)が第三者監査に参加

Appleは、コンゴ民主共和国の小規模な鉱山における子どもの就労問題に取り組むリーダーです。私たちは健康と安全のために欠かせないトレーニングを提供し、公平な市場での売上と従業員を結ぶことで彼らの生活を向上させ、子どもたちが学校に通い続けられるようにするシステムを作っています。そのすべてをAppleと連携しながら行えることを、私たちはうれしく思います

Mark Viso氏Pact 社長兼CEO

報告書

2017年の報告書におけるハイライト

98% の労働時間遵守率を達成
(上限週60時間が基準)
240 人以上の従業員が2016年に自らの権利を理解するためのトレーニングに参加。2008年以来の累計参加者数は1,170万人以上
1,438 キロリットル以上の水を2016年に節約。2013年以来の累計水量は3,027万キロリットル以上
100% のスズ、タンタル、タングステン、金、コバルトのサプライチェーンマッピングを完了
100% のスズ、タンタル、タングステン、金、コバルト製錬所および精製所パートナーが第三者監査に参加
260 ドルの過剰な斡旋手数料が2016年に1,000人以上に払い戻され、2008年以来の払い戻しは3万4,000人以上、2,840万ドルに
210 人以上が2008年の開始以来、Supplier Employee Education and Development(SEED)に参加
20 トン以上の廃棄物を2016年に埋め立て処理せずに転用
1 Corporate Information Transparency Index(CITI)により3年連続でランク付け

私たちの進捗をさらに詳しく紹介します。

今回で11年目となるAppleのサプライヤー責任年次進捗報告書をお届けします。これは、この上ない誠実さを
持ってApple製品を製造するために私たちが力を注ぐ活動のすべてを包括的にまとめたものです。この報告書では、Appleのサプライヤーパートナーの施設における労働環境の改善、環境保護、従業員の生活の向上、
責任ある原材料調達の基準維持のために私たちが続けてきた取り組みに焦点を当てています。