今やクルマの変速機においてマニュアルトランスミッション(MT)は少数派である。フェラーリやポルシェ、日産GT-Rといったクルマでさえ続々と自動変速機(AT)が主流、あるいはATのみになっており、MTは風前の灯火かと思われていた。今でもそう思っている人は多いだろう。 【マツダは主要モデルのほとんどにMTを用意する。ロードスターという特例を除けば、最もMT比率が高いのはフラッグシップでDセグメントのアテンザだという】 しかし、ここへきてその流れが少し変わってきた。スズキは昨年末にデビューしたアルト・ワークスのCMで「いま、マニュアルに乗る」というキャッチコピーを採用した。それは当然ながら「MTにはATと違う付加価値がある」という一定の共通概念に依拠した訴求方法である。