有事のドル買い・・・地政学的リスクとは

地政学リスクは、地政学的な問題により世界経済に波及するリスクをいう。アフガニスタンの対テロ戦争、チェチェン紛争、北朝鮮の核開発問題などがあり、これらに関して大きな出来事が起こると、マーケットにも大きな影響を及ぼすことがある。2010年の世界経済の動向も引き続き十分注視していかなければな.らない。地政学的リスクの問題は、冷戦体制崩. 壊以降、世界の政治的、軍事的安定性が大き く変化してきた証左である。唯一の超大国として一極集中化していた米国が、経済危機に見舞われ世界の警察官的な役割を果たせなくなっていることからますます、地政学リスクは高まっていくだろう。

有事のドル買い・・・地政学的リスクとは

「地政学的リスク」

 

先週北朝鮮が韓国を砲撃、韓国軍も応戦、あわや戦争開始かという事態となりました。こうした事態を伝える報道の中で「地政学的リスク」という言葉を目にされた方も多いと思います。

 

地政学リスク

 

 

「地政学的リスク(Geopolitical Risk:「地政学リスク」とも言う)」というのは、特定地域における政治的・軍事的・社会的緊張が高まることで、近隣地域、もしくは世界経済全体の先行きを不安・不透明にするリスクのことを言います。

 

「地政学」は、地理的な位置関係が政治や国際関係に与える影響について研究する学問のことですが、2002年9月の中東情勢の緊迫時にその学問になぞらえたリスクとしてFRBが声明の中で使用し、広く市場で認識されるようになりました。

 

このリスクが指すものとしては、「地域紛争」と「テロ」が代表的なものです。もちろん、FRBが声明文で使用する以前から市場変動要因としてこうしたリスクは認識されていましたが、総括した言葉として浸透したということですね。

 

対象となる地域・国によって大小の違いはあるものの、少なからず企業行動、消費者心理へ悪影響を与え、株式市場や為替市場が乱高下することにつながることが多いものです。

 

よく言われる言葉に
「有事の金」「有事のドル(米ドル)買い」というものがあります。有事というのはまさに戦争やテロといった「地政学的リスク」の指し示す事態のことで、そうした時に投資家はより安全な資産にお金を移す行動を取ることを表している言葉です。今回、金はすでに高値圏にあったものの、事態を受けて史上最高値をつけました。米ドルはというと、ニュースが出た直後は一時買われたものの、その後はそれほどドルが強くなるということはありませんでした。

 

過去においては、北朝鮮に不穏な動きがあると「東アジア圏」というひとくくりのもとで円が売り込まれ、日本株が急落するという動きが一般的でした。それだけに今回の動きには拍子抜けした方も多かったかもしれませんね。

 

今回、第一報が日本の休日の3時半頃であったことから、直後の日本株への影響はありませんでした。ちなみに翌日の日本株は一時かなりの下落を見せたものの、下げ渋った後に上昇、前日比で大きく下げないレベルまで戻しました。

 

またその時間帯がちょうど欧州勢が市場に参加し始める頃だっただけに為替市場ではドル買い円売りが進みましたが、その後市場の注目は米長期金利とアイルランドの財務不安によって再燃した欧州(ユーロ)不安にとって替わられた感があり、結局は円を対価にドルを売るという動きが加速しました。つまり事態発生の当日、翌日の動きは日本市場、円への影響は限定的だったということです。その後は、ドル円は徐々に切りあがっていますが、必ずしも「地政学的リスク」が要因とは言えない動きのようです。

 

日本の世界における影響力や世界からの関心が低下している部分も過去の反応との違いの一つの要因かもしれません。いずれにしても、数多くあるリスクや市場変動要因の中から市場参加者が何に最も注目・反応しているのかを判断して行動しないと、空回りしてしまうこともありえるということですね。

為替相場はECB理事会に注目

【注目ポイント】

 

米国雇用統計・・・一段の米国金利上昇・ドル買いにつながるか

 

米韓合同軍事訓練・・・地政学リスクで円売りが強まる可能性

 

ECB理事会・・・信用不安沈静化まで緩和解除は凍結か

 

中国の引き締め懸念・・・商品市場・資源国通貨への圧迫材料

 

 

本日はECB理事会が政策金利を発表する。市場の見方は現行の1.0%での据え置きがコンセンサスとなっている。注目は、理事会後に開催されるトリシェECB総裁の記者会見となろう。欧州ソブリン問題が深刻化するなかで、同総裁が追加措置を発表するかが焦点となる。ギリシャ財政問題が欧州危機を巻き起こした今年上期、5月のECB理事会で新規措置が手控えられると一気にギリシャ債が売り込まれた。この動きに催促される形で、ECBは急遽、異例の国債購入策を発表せざるを得なかった経緯がある。

 

今回は、アイルランド問題が一段落したもののスペインやポルトガルへと信用不安が広がっている。欧州第四の規模を誇るスペインにまで救済が必要となれば、これまでの枠組みでは対応し切れない懸念もある。5月時点よりも、状況は深刻だ。このような状況下で、市場には再びECBに追加措置を期待するムードが広がっている。市場では、国債購入額の大幅拡大や、銀行への無期限融資の解除時期の延長などの措置が取り沙汰されている。イタリア政府関係者からもECBに断固とした措置を求めるとの記事も報じられている。今回、追加措置が見送られれば市場に再び失望感が広がる可能性がある。日本時間22時30分からのトリシェECB総裁会見が待たれるところだ。

冬のボーナスがはいり資産運用の季節がきました。今年は株、預金だけではなくFXなどのリスク性商品も人気のようです。まずは定期預金のリスクに関しておさらいしましょう。・新型定期預金の中途解約は原則としてできません。当行がやむを得ないものと認めて中途解約に応じる場合、解約費用が発生するため、結果的に大きく元本割れとなる可能性が非常に高くなります。その際は、お預入れいただいてからご解約までの経過利息についてもお受取りいただけません。・新型定期預金(満期特約定期預金)は、当行の判断により預入期間が繰上満期日まで短縮される可能性があります。満期の繰上に関する決定権は楽天銀行にあります。・キャンペーン期間中であっても、市場環境等により、予告なく金利の変更、またはお取扱いの中止等をすることがあります。